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コラム

尺貫法とメートル法の関係。

こんにちは!ライターの伊藤です。今回は「尺貫法とメートル法の関係」と題しまして、リノベーション工事の際に混乱を招く計測単位の矛盾に関して考えてみたいと思います。

尺貫法とメートル法、統一できない事情もある。

図面はメートル表記なのに建材規格は尺貫法

石膏ボードやコンパネなどの規格サイズで3×6(サブロク)板は三尺×六尺(909mm*1818mm)のこと。これは畳一帖と同じサイズです。
このように日本の建築資材は尺貫法をベースに規格が設定されています。

しかし、図面はメートル法で記載するのが一般的。尺貫法で書かれた図面は今や見た事がありません。しかも定規もコンベックスメジャーも全てミリ目盛なのです。ややこしいですね。しかし建築関係者は皆この矛盾を受け入れて慣れていきます。それには現実に即した事情があるのでした。

なぜ尺貫法が生き残っているのか?

ではなぜ住宅建築の現場で尺貫法が生き残っているのか?
答えは「尺貫法で建てられた建物が未だ大勢を占めているから」と考えられます。一般住宅から和室が消えはじめたのはほんの30年前、木造在来工法(木造軸組構法)は実に70%以上のシェアを占めツーバイフォー工法やプレファブ工法を圧倒しています。

最近ではメーターモジュールを採用しているハウスメーカーも増えてきましたが、まだまだ少数派。誰ぞの大号令で「尺貫法禁止令」でも発布されない限りこの矛盾は無くならないでしょうね。
面倒臭いので尺貫法のことは聞かなかった事にしてメーター単位で仕事をしたいものですが、リノベーション物件のほとんどはマンションでさえ尺貫法の支配下です。
この際、尺貫法を体得してスピーディーに作業をこなして行きましょう!

尺貫法の「貫」はどこ行った?

「一貫 = 3.75 kg」らしいのですが、建築図面には質量の単位はあまり登場しないので、廃れていったのかな?知らんけど。貫がどこにいったか知ってる人は教えて下さい。

一尺=ほぼ303mm

尺貫法とメートル法の互換

尺貫法とは日本固有の長さの単位である「尺」「寸」「分」などを用いた計測方法です。

尺貫法の単位[1尺=10寸=100分](曲尺)

  • 一尺=303mm
  • 一寸=30.3mm
  • 一分=3.03mm

一間(いっけん)=1.81818182 メートル!?

もはや尺貫法とメートル法の互換性が最悪で、置き換えるのもめんどくさいのですが、一間は一尺の6倍(六尺)ということになります。

  • 一間=1820mm
  • 二間=3640mm
  • 三間=5450mm

となります。さらに不動産業界でお馴染み「坪」とは

  • 一坪は1820mm×1820mm=3.31㎡(2畳)
  • 二坪=3640mm×3640mm=6.62㎡(4畳)
  • 三坪=5450mm×5450mm=9.93㎡(6畳)

という感じ。
ややこしすぎるので、一尺は303mmで一間は六尺ということだけ覚えてればなんとかなります。

どんな時に尺貫法が役に立つのか?

尺貫法規格の建材たち

骨材やパネル類からフローリングやクロスのような内装資材まで、建築資材のほとんどは尺貫法規格で製造されております。尺貫法で図面を描くことにより材料費の無駄を抑えることができるのです。


◯建築資材の主な規格

  • 石膏ボード=3尺×6尺
  • コンパネ=3尺×6尺
  • フローリング材=1尺×6尺
  • クロス=3尺幅
  • フロアタイル=半尺刻み など。

もちろん各メーカーさんごとに、さまざまなサイズバリエーションがありますが、量産タイプや普及品といった低コスト商品は、ほとんどが尺貫法規格で製造されておりますので、低予算で色々選びたい方は尺貫法で図面を描くことをお勧めいたします。

知っておくと便利な尺貫法。

それでは実際にどのような時に尺貫法が役に立つのか!

  • 壁面の間柱は通常一尺すなわち303mm(サンマルサン)ピッチで建っていますので、3×6の石膏ボードを既存の壁に重ね貼りする時のビスが効く位置は303ピッチ。
  • フローリングの下地も一尺すなわち303mm(サンマルサン)ピッチで敷かれているので、フローリングを重ね貼りする時のフィニッシュも外しません。
  • 和室天井の下地やLGSは一尺半455mm(ヨンゴーゴー)ピッチで流れているので、PB下地として利用する際はビスポイントになります。
  • 石膏ボードを止めるビスの間隔は五寸150mm間隔。

などなど、数え上げたらきりがありません。下地が見つからない時や寸法を決定する場合の目安と考えて下さい。
また大工さんからクロス屋さんへなどの工事の引き継ぎなども暗黙のうちに進んでいくのが、尺貫法で統一された建物の良いところです。決して面倒臭いことばかりではないのです!

ポイント

尺貫法は過去からの暗号。手抜き工事をするとバレバレですよね。

リノベ物件を数多く扱っていると、新築工事の業者さんのスキルと、手抜き工事具合まで手に取るようにわかってきます。例えば、ビスピッチが150ピッチで入っているべき場所が303に変更されていたり、間柱が455ピッチで飛ばされていたり。
その時の情景まで浮かんでくるから怖いものです。
これは尺貫法という今昔共通の暗号を理解することで感じることができるようになります。
自分の仕事が暗号となり未来に残るかと思うと恥ずかしい仕事はできませんね!